先週の日曜日、家族と買い物に出かけた。久しぶりに仕事を忘れてゆっくりしようと思っていた。
ショッピングモールの入口を入ったとき、少し先を歩く2人組が目に入った。40代くらいの男性と、20代と思われる女性。並んで歩いているが、少し距離がある。男性がスマホを確認しながら歩いている。女性がそれを待つように、少しだけ歩調を緩める。
——あ、と思った。
別に確証があるわけではない。親子かもしれない。同僚かもしれない。ただの知り合いかもしれない。しかし長年この仕事をしていると、何かが引っかかる瞬間がある。うまく説明できないが、「普通の2人」とは少し違う空気、とでも言えばいいか。
家族に「どうしたの?」と言われて、我に返った。
「なんでもない」と答えた。
こういうことが、休日には割とある。
レストランで隣のテーブルに座った男女の会話が、なんとなく耳に入る。駅のホームで、周囲を気にしながら話す2人が視界に入る。公園のベンチで、スマホを伏せながら話す人が気になる。
職業病だと思う。
意識してそうしているわけではない。ただ長年、「普通ではない2人」を見続けてきた結果として、そういうアンテナが勝手に立つようになってしまった。
困るのは、気になってしまった後だ。
「あの2人、どういう関係だろう」という考えが、頭の片隅に残る。もちろん追いかけたりはしない。仕事ではないし、そもそも関係のない話だ。しかしせっかくの休日に、見知らぬ人の関係性を考えている自分がいる。
家族と食事をしながら、笑いながら、頭の一部がまだあの2人のことを考えていたりする。
この仕事を選んだことを後悔しているわけではない。ただ、休みの日くらいは完全に忘れたいと思うこともある。
先日、同業の知人と話したとき、同じようなことを言っていた。「旅行に行っても、ホテルのロビーで気になるカップルを見てしまう」と。
どうやら職業病らしい。治し方は、まだ分からない。
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