「残業が多いとは思っていたんですが、まさか同じ会社の人とは」
相談に来たNさん(40代・女性)は、そう言って少し苦笑いしました。怒りはある。でも「なぜ気づけなかったんだろう」という自分への問いも、同時にあるようでした。
社内不倫は、発覚が最も難しい不倫のひとつです。「会社にいる」という事実が、何より強力なアリバイになるからです。
「残業」という最強のアリバイ
夫(40代・会社員)は墨田区内の中堅企業に勤めるサラリーマンでした。真面目に働いてきた人で、残業も珍しくない職場環境でした。
変化が始まったのは、夫が部署異動をした頃からでした。新しい部署に移ってから、帰宅時間が遅くなる日が増えていきました。「新しい仕事に慣れるまで大変なんだ」という説明は、Nさんにも理解できました。最初の数ヶ月は、そう思っていました。
しかし半年、1年と経つにつれて、「いつまで慣れていないのか」という疑問が頭をよぎるようになりました。帰宅が遅い日が特定の曜日に集中していること、残業のはずなのにスーツではなくカジュアルな服装で帰ってくる日があること、帰宅後すぐにシャワーを浴びる習慣が出てきたこと——ひとつひとつは小さな違和感でしたが、積み重なっていきました。
「会社の人と飲みに行くことも増えて。でも以前は飲み会の話を帰ってからしてくれていたのに、最近はあまり話さなくなった」
浮気中の行動変化として、帰宅後の報告が減ること・特定の話題を避けることは多くの事例に共通して現れます。Nさんの観察は的確でした。
社内不倫が長続きしやすい理由
職場・仕事関連の不倫については別シリーズでも詳しく解説していますが、社内不倫には長期化しやすい構造があります。
まず、接触の機会が日常的に存在する点です。毎日同じ職場にいる、会議や打ち合わせで顔を合わせる、ランチを一緒に食べることがある——こうした積み重ねが、関係を深めていきます。
次に、「仕事」という言い訳が機能し続ける点です。残業・出張・会社の飲み会——これらはすべて、社内の相手との時間を作るための口実として使えます。配偶者が職場の内情を知らない場合、確認する手段がほとんどありません。
さらに、感情的なつながりが生まれやすい点もあります。仕事上の苦労を共有する、同じプロジェクトを一緒に乗り越える——職場という環境は、連帯感と信頼感が生まれやすい場所です。
調査の概要
Nさんから得られた情報は以下の通りでした。
- 夫の職場の場所・勤務時間の目安
- 帰宅が遅くなる曜日のパターン(主に火曜・金曜)
- 夫が使う交通手段(電車)
帰宅が遅い火曜日に合わせて調査を開始しました。
初日、夫は定時後に職場を出て、最寄り駅とは反対方向に歩き始めました。10分ほど歩いた先の居酒屋に入店。約30分後、30代と思われる女性が合流しました。二人は2時間ほど過ごした後、近くのホテルへ。チェックイン・滞在・退出の一連を映像で記録しました。夫が帰宅したのは深夜で、「今日は部署の飲み会だった」とNさんに伝えたそうです。
女性の外見・服装を記録し、翌週の金曜日にも調査を実施。同じ女性と同じ居酒屋で合流し、今回は別のホテルへ。同様の行動パターンが確認できました。
3回目の調査では、二人が職場を同じタイミングで出る場面も記録。職場の同僚であることが確認できました。夫より年下の、同じ部署の女性社員でした。
調査期間は3週間、実調査は4日間でした。
報告書を受け取ったNさんのその後
報告書と映像を受け取ったNさんは、「同じ部署の子だったんですね」と静かに言いました。名前は知っていた。会社の話の中で何度か出てきたことのある名前でした。
「だから話さなくなったんだ、とそのとき思いました。話したくても、その人の名前が出てくるから」
夫に証拠の存在を告げると、しばらく黙った後に認めました。「部署異動のタイミングで知り合って、気がついたら」という言葉は、Nさんには言い訳にしか聞こえなかったといいます。
弁護士を通じて、夫と不倫相手の両方に慰謝料請求を行いました。継続的な関係を示す複数日の証拠・職場での接触という状況が交渉において考慮され、相応の慰謝料を受け取りました。
不倫相手の女性については、職場への影響を最小限にするという観点から、示談交渉という形で解決しました。
その後、離婚が成立しました。「もう同じ職場に二人がいると思うと、続けられなかった」とNさんは言っていました。
社内不倫を見抜くためのポイント
帰宅時間が特定の曜日に遅くなる 「残業」の頻度が増えた、特に決まった曜日に遅い——このパターンは社内不倫に多く見られます。本当の残業であれば曜日に関係なく発生するはずです。
職場の話をしなくなった・特定の名前が消えた 以前は話していた職場の人間関係の話が減ってきたとき。特定の同僚の名前が突然出てこなくなった場合、その人物との関係に変化が生じている可能性があります。
出張・社外打ち合わせが増えた 社内の相手との時間を作るために、「社外での仕事」という口実が使われることがあります。出張先や打ち合わせ場所の確認が曖昧になってきた場合は注意が必要です。
部署異動・プロジェクト変更のタイミング 新しい環境で新しい人間関係が生まれる時期は、不倫が始まりやすいタイミングでもあります。職場不倫が始まるきっかけについては別記事も参考にしてください。
よくある質問
Q. 不倫相手が同じ職場の場合、調査で職場に接触することはありますか? A. ありません。調査は勤務時間外の行動を記録するものであり、職場や職場関係者に接触することはありません。
Q. 社内不倫の証拠を持って会社に報告することはできますか? A. 法的には可能ですが、状況によっては名誉毀損等の問題が生じる可能性もあります。会社への報告を検討する場合は、先に弁護士に相談することをお勧めします。
Q. 不倫相手への慰謝料請求が、相手の職場に知られる可能性はありますか? A. 示談交渉の場合、職場に知られずに解決できるケースがほとんどです。ただし裁判に発展した場合は状況が変わることがあります。示談交渉の進め方については別記事も参考にしてください。
Q. 夫がまだ同じ会社に勤めている状態で離婚できますか? A. 離婚の成立に夫の職場は関係しません。ただし財産分与・慰謝料の交渉においては、夫の収入・退職金の見込みなどが関わってきます。弁護士と連携して進めることをお勧めします。
Q. 社内不倫は証拠が取りにくいですか? A. 職場内での行動は調査できませんが、勤務時間外の行動を記録することは可能です。Nさんのケースのように、退勤後の行動パターンに着目することで証拠を確保できます。
まとめ
墨田区在住・40代夫婦のケース。部署異動をきっかけに始まった社内不倫を「残業」という言い訳で隠し続けた夫の行動を、3週間・実調査4日間で記録しました。複数日にわたる証拠をもとに夫・不倫相手の両方から慰謝料を受け取り、離婚が成立しました。
「残業が多い」という状況は、社内不倫の最も使いやすい隠れ蓑です。特定の曜日に帰りが遅い、職場の話をしなくなった——そういった変化を感じ始めたとき、まずご相談ください。


