「ゲームのオフ会が一人だったと聞いて、呆れました」

Rさん(30代・女性)はそう言った後、少し間を置きました。怒りではなく、疲れた人の顔でした。

「会ったことがないと断言していたんです。その顔が思い出されて。怒りより悲しみの方が大きかった」

ゲームが増えていくのを、黙って見ていた

夫がオンラインゲームを始めたのはテレワークが定着した頃でした。「家にいる時間が長くて、気分転換に」という理由は理解できました。週末の数時間が、やがて平日の夜になり、深夜になっていきました。

最初は文句を言っていたといいます。でも喧嘩になるのが嫌で、「ゲームをしているときは関わらない」というルールが、いつの間にか二人の間に出来上がっていました。

「放っておいた自分も悪かったかもしれない、と今でも思うことがある。でもそれは、浮気をしていい理由にはならない」

ゲーム中、夫はイヤホンをつけてボイスチャットをしていました。複数の声が聞こえてくることはあっても、Rさんは気にしていなかった。しかしある時期から、特定の女性の声が毎回聞こえるようになりました。

「ゲームに女性も参加するんだな、くらいしか思っていなかった」

変化に気づいたのは、ゲームが終わった後でした。以前は画面を閉じればそのまま寝室に来ていた夫が、スマートフォンでのやり取りを始めるようになりました。ちらりと見えた画面はゲームのアプリではなく、LINEでした。「ゲームの子?」と聞くと「うん、攻略の話」と返ってきました。

その後も同じパターンが続きました。ゲームが終わるとLINE、深夜にスマートフォンを持ってトイレへ、着信があると素早く別室へ。

ある日、思い切って聞きました。「リアルで会ったことある?」

「ネットの人だから会ったことはない」

その断言の仕方が、逆に引っかかりました。

オンラインゲームが「出会いの場」になる構造

ボイスチャットで声を聞きながら一緒にプレイする、攻略を教え合う、うまくいったときに一緒に喜ぶ——こうした体験の積み重ねが、顔も本名も知らない相手との連帯感を生みます。

「ゲームの中だけの関係」という認識が長く続くほど、配偶者の警戒心は薄れます。「ネットの人だから会うことはない」という言い訳は、そういう前提があるからこそ通りやすい。

ゲーム内のチャットからDiscordやLINEに移行するのも自然な流れです。連絡手段が個人のスマートフォンに移った段階で、関係はゲームの外に出ています。ただその変化は、外からは見えにくい。

SNS・オンラインを通じた不倫の構造については別シリーズでも解説していますが、オンラインゲームが起点となる不倫は「会ったことがない」という言い訳が長く機能してしまうという特徴があります。Rさんが「ゲームをしている間は放っておく」という状況を続けていた2年間、その裏でそういうことが起きていました。

調査の概要

Rさんから得られた情報は以下の通りでした。

  • 夫の勤務形態(テレワーク中心・週数回出社)
  • テレワーク中に「ちょっと出てくる」という外出が増えていること
  • ゲームからLINEに移行した相手がいること

テレワークの日の外出を中心に調査を組み立てました。

初日、夫は「コンビニに行ってくる」と言って自宅を出ました。向かったのはコンビニではなく最寄り駅で、電車で千葉市内の商業施設へ。フードコートで待っていた20代後半と思われる女性と合流し、カフェに移動して2時間ほど過ごした後、解散しました。「コンビニ」のはずの外出が2時間以上になっていた理由が、ここにありました。

翌週の週末、夫は「ゲームのオフ会がある」と言って外出しました。オフ会という言葉は複数人の集まりを想像させます。しかし合流したのは、前回と同じ女性一人でした。都内のレストランで食事をした後、ホテルへ。チェックイン・滞在・退出の場面を映像で記録しました。

3回目の調査では、テレワーク中に「散歩してくる」と言って出た夫が、同じ女性と合流して市内のラブホテルへ。「会ったことはない」という断言が、何を意味していたかが明らかになりました。

調査期間は3週間、実調査は4日間でした。

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「ゲームで知り合っただけ」では通らない

夫に証拠の存在を告げると、最初は「ゲームで知り合った子で、たまたま会っただけ」と言いました。

複数日・複数場面の映像があることを告げると、言葉が止まりました。

弁護士を通じて、夫と相手女性の両方に慰謝料請求を行いました。「ゲームで知り合っただけ」「たまたま会っただけ」という主張は、継続的な関係を示す証拠の前では意味をなしません。相応の慰謝料を受け取り、離婚が成立しました。

Rさんは最後にこう言っていました。

「ゲームを放っておいた自分も悪かったかもしれない、と思うこともある。でも浮気をしていい理由にはならない」

その言葉は、自分を責めながらも、ちゃんと前を向いている人の言葉でした。

こういうサインが重なったとき

ゲームが終わった後にスマートフォンを触り始めたとき。ゲーム中の会話がゲーム外のLINEやDiscordに移行している可能性があります。「攻略の話」という説明が続くなかで、深夜まで個別のやり取りが続いているなら注意が必要です。浮気のサインと照らし合わせてみてください。

毎回同じ声がボイスチャットから聞こえるようになったとき。特定の相手と繰り返しプレイする関係は、ゲーム内の「仲間」を超えていることがあります。Rさんが最初に気づいたのも、この変化でした。

「ゲームのオフ会」という外出が出てきたとき。参加人数・場所・時間帯が曖昧な場合は確認する価値があります。Rさんのケースでは、「オフ会」の相手は一人でした。浮気が発覚するきっかけとして、こうした説明と実態のずれは多くの事例に共通して現れます。

テレワーク中の「コンビニ」「散歩」が長くなったとき。在宅勤務の日は外出の理由を作りやすい。短時間のはずの外出が繰り返し長くなっているなら、その時間に何があるかを確認する必要があります。

よくある質問

Q. ゲームで知り合った相手でも、慰謝料請求できますか? A. できます。出会いのきっかけは請求の可否に影響しません。不貞行為が立証できれば、オンラインで知り合った相手も請求の対象になります。

Q. 「会ったことがない」と断言していた場合、証拠としてどう機能しますか? A. 断言の事実自体は証拠になりませんが、その後に複数日・複数場面での接触が記録されれば、主張が崩れます。継続的な関係を示す証拠の積み上げが重要です。証拠の使える・使えないの分かれ目については別記事も参考にしてください。

Q. DiscordやゲームのチャットログはLINEと同様に証拠になりますか? A. 内容・取得方法によって証拠としての有効性が変わります。無断でアカウントにアクセスして取得したものは、使えない場合があります。証拠の取り方については弁護士への相談をお勧めします。

Q. テレワーク中の外出を調査できますか? A. 可能です。在宅勤務の日の行動確認も通常の調査と同様に実施できます。「短時間のはずの外出」の実態を記録することで、説明とのずれが明らかになります。

Q. 再構築を選ぶ場合、ゲームをやめることを条件にできますか? A. できます。特定のゲームをやめる、特定のアカウントを削除するといった条件を書面で取り交わすことが可能です。再構築の条件の設定については弁護士と相談しながら進めることをお勧めします。

まとめ

千葉市在住・30代夫婦のケース。「リアルでは会ったことがない」と断言していた夫が、実際には複数回にわたって密会・ホテル利用をしていたことを3週間・実調査4日間で記録しました。「ゲームで知り合っただけ」という言い訳は証拠の前では通らず、慰謝料請求・離婚へと進みました。

「ゲームを放っておいた自分も悪かったかもしれない」——Rさんのその言葉が印象に残っています。自分を責めながら、それでも「浮気をしていい理由にはならない」とはっきり言えた。その言葉が出るまでに、相当な時間がかかったはずです。

違和感を感じながら、「ゲームの友達だから」と自分に言い聞かせている時間が一番消耗します。まずご相談ください。

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