同僚から「先週末、ご主人と飲みに行きましたよ」と言われたとき、Aさん(30代・女性)はその場で笑って流しました。
夫は出張だと言っていた。でもその週末、夫の同僚は都内で夫と一緒に飲んでいた。
家に帰ってから、涙が止まらなかったといいます。自分のためではなく、「お腹の子に申し訳なくて」。
妊娠7ヶ月のことでした。
つわりで動けない日に、夫は「仕事」と言って出かけていた
妊娠がわかってから、Aさんの生活は大きく変わりました。つわりがひどく、ソファから動けない日が続きました。食事も作れない、仕事も休みがちになる。そういう時期に、夫のそばにいてほしいという気持ちは自然なことでした。
しかし夫は「仕事の付き合いがある」と言って夜に外出することが増えていきました。妊娠前はそれほど多くなかった飲み会が、つわりが始まった頃から急に増えた印象がありました。
「一人で家にいることが多くなって。夫に連絡しても返信が遅い日があって、寂しいというより不安でした」
妊娠中期に入り体調が落ち着くと、今度は夫のスマートフォンが気になり始めました。以前はリビングに置きっぱなしだったのに、常に手元に持つようになった。夜中に通知が来ると素早く確認して、画面を伏せる。
おかしい、という感覚はありました。でもAさんはその感覚を、自分の中で何度も打ち消していました。
「疑いたくなかった。こんな時期に疑うなんて、自分がおかしいのかと思っていました」
「こんな時期に疑うなんて」という自己抑制
妊娠中に夫への疑いを持つことは、多くの女性にとって特別な苦しさを伴います。
「ストレスが赤ちゃんに良くない」「ホルモンバランスで敏感になっているだけかもしれない」「産後に落ち着いてから考えよう」——こうした思いが、違和感を打ち消す方向に働きます。疑っている自分を責めながら、それでも疑いが消えない。その状態が、Aさんの場合は半年近く続きました。
同僚からの一言が、その時間を終わらせました。
笑って流せたのは、その場にいた人たちの前でそうするしかなかったからです。家に帰ってから泣いたのは、ずっと打ち消してきた感覚が正しかったと、はっきりわかったからだと思います。
浮気を疑い始めたときの心理として、「疑っている自分がおかしいのかもしれない」という感覚は多くの方に共通して現れます。妊娠中という状況は、その感覚をさらに強めます。
調査の概要
Aさんから得られた情報は以下の通りでした。
- 夫の職場の場所・通常の帰宅時間
- 外出が増えた時期と頻度のパターン
- 「出張」と言って出かけた週末の行き先(同僚の証言から都内と判明)
- 夫が使う交通手段(電車)
Aさん自身は自宅で安静にしていただいたまま、調査を進めました。妊娠中の依頼者が動く必要は一切ありません。
帰宅が遅くなる曜日の行動確認から開始しました。
初日、夫は定時後に直帰せず都内の飲食店へ。30代と思われる女性と合流し、2時間ほど食事をした後にホテルへ。チェックイン・滞在・退出の場面を映像で記録しました。その夜Aさんには「付き合いで遅くなった」とLINEが届いていたそうです。
翌週の調査で、夫の職場近くで同じ女性と待ち合わせをしている場面を確認。継続的な関係であることが記録されました。
「出張」と言って出かけた週末にも調査を実施。夫は都内のホテルに女性と宿泊していたことが確認されました。同僚の証言と一致する行動でした。
調査期間は3週間、実調査は5日間でした。
お腹に手を当てながら、映像を見ていた
調査結果を報告した際、Aさんはお腹に手を当てながら映像を確認していました。
「やっぱりそうだったんだ、という気持ちと、この子に申し訳ないという気持ちが同時に来て」
夫に証拠の存在を告げると、しばらく黙った後に認めました。「お前がつわりで辛そうで、どうしていいかわからなかった」という言葉が出てきました。
Aさんにはその言葉が、言い訳にしか聞こえなかったといいます。
弁護士と相談した結果、出産後に落ち着いてから本格的な手続きに入ることを選びました。妊娠中・出産直後という時期に大きな決断をすることのリスクを、弁護士からも丁寧に説明されたためです。
まず別居という形を取り、証拠は手元に確保した状態で待つことにしました。
「子どもが生まれてから、ちゃんと決めます。でも証拠があるから、うやむやにはさせない」
その言葉に、迷いはありませんでした。
妊娠中だからこそ、知っておいてほしいこと
調査は、依頼者が動かなくても進められます。調査員が対象者の行動を追うため、Aさんのように自宅で安静にしていただいたまま進めることができます。体への負担は一切ありません。妊娠中であることは、調査の障害になりません。
証拠は、今のうちに確保しておくことが重要です。「産後に落ち着いてから」と先送りにしている間に、相手が行動を変えたり証拠を残さなくなったりする可能性があります。疑いがある段階で動いておくことが、後の選択肢を広げます。
証拠を持つことと、決断することは別の話です。Aさんのように、証拠だけ確保して判断は産後にという選択ができます。妊娠中・出産直後に離婚や慰謝料請求を進める必要はありません。
妊娠中という状況は、慰謝料の算定に影響する可能性があります。配偶者が最も精神的・肉体的にサポートを必要としている時期に不倫をしていたという事実は、精神的苦痛の程度を示す事情として考慮される場合があります。
よくある質問
Q. 妊娠中でも調査を依頼できますか? A. はい、可能です。依頼者の方が動く必要はなく、自宅で安静にしていただいたまま調査を進めることができます。体への負担は一切ありません。
Q. 妊娠中という状況は慰謝料に影響しますか? A. 影響する可能性があります。配偶者が最も支援を必要としている時期に不倫をしていたという事実は、精神的苦痛の程度を示す事情として判断される場合があります。慰謝料の相場と算定条件については別記事も参考にしてください。
Q. 証拠を確保してから、判断を先送りにすることはできますか? A. はい、可能です。証拠を手元に持った状態で出産後に判断するという選択をする方は多くいます。「証拠を持つこと」と「手続きを進めること」は別々に動かせます。
Q. 妊娠中に離婚する場合、出産費用や養育費はどうなりますか? A. 離婚後の出産費用・養育費は離婚協議の中で取り決めることができます。妊娠中の離婚は手続きが複雑になる場合があるため、弁護士との早めの連携をお勧めします。
Q. 不倫相手にも慰謝料請求できますか? A. はい。不貞行為が立証できれば、配偶者だけでなく不倫相手にも請求できます。両方への慰謝料請求については別記事も参考にしてください。
まとめ
市川市在住・30代夫婦のケース。妻の妊娠中に夫が不倫していたことを、3週間・実調査5日間で記録しました。「こんな時期に疑うなんて」という自己抑制が半年近く続きましたが、証拠を確保した上で出産後に手続きを進めるという選択をしました。
Aさんが報告後に口にした言葉は、自分のためではなく「この子に申し訳ない」でした。
その言葉が、この記事で伝えたいことのすべてだと思います。一番そばにいてほしい時期に一人で抱えていたこと、それでも「うやむやにはさせない」と決めたこと——妊娠中であっても、動くことはできます。まずご相談ください。


