「自分で調べようとしたんですけど、うまくいかなくて」

相談に来る方の中に、一定数いらっしゃいます。スマートフォンで撮影しようとして気づかれた、車で追いかけようとして渋滞にはまった、GPSを仕掛けようとして——ここで話が止まることもあります。

自力で動こうとする気持ちはわかります。「本当に浮気しているのか、自分の目で確かめたい」という感情は自然なものです。ただ、結果として状況を悪化させてしまったり、法的なリスクを負ってしまうケースが実際に起きています。

この記事では、プロが現場で使う機材・道具と、その理由を説明します。「なぜ素人調査では限界があるのか」という話もあわせてお伝えします。依頼を検討している方にとって、「プロに頼む意味」が具体的に見えてくる内容だと思います。

撮影機材——「証拠になる映像」を撮るために必要なこと

浮気調査の核心は、証拠映像・証拠写真の取得です。ただし、撮れればなんでもいいわけではありません。法的手続きで使用できる証拠には条件があり、映像の質・記録の正確性・撮影状況の客観性がすべて問われます。

プロが使うカメラは、一般的なスマートフォンとは設計の目的が違います。

望遠性能と手ブレ補正

距離を置いて撮影することが前提になるため、望遠性能は必須です。近づいて撮ることは尾行バレのリスクを高める。50メートル、100メートル離れた位置から、動いている対象者を鮮明に記録できる機材が必要になります。手ブレ補正も重要で、車内や歩行中など不安定な状況でも使える機材を選んでいます。

暗所・夜間対応

夕方以降の調査では、照明が少ない環境での撮影が増えます。スマートフォンのカメラは明るい場所では十分な性能を発揮しますが、夜間の屋外・薄暗い駐車場・照明の少ない路地では、画質が著しく落ちます。証拠として提出できる画質を確保するには、暗所対応の専用機材が必要です。

記録媒体と日時データ

撮影した映像・写真には、日時・場所の情報が正確に記録されていることが重要です。「いつ・どこで撮影したか」が証明できなければ、証拠としての信頼性が下がります。プロの機材はこのメタデータの管理も含めて運用しています。

Aさんのケース(40代・女性・主婦)

夫の行動を自分で記録しようとしたAさんは、スマートフォンを使って駐車場から撮影を試みました。距離があったため映像が粗く、「二人で歩いている」ことは映っているものの、相手の顔が判別できない状態でした。後に弁護士に相談したところ、「この画質では証拠として機能しない可能性が高い」と指摘されたそうです。

車両——「見えない尾行」を支える道具

尾行において、車両の運用は最も技術が問われる部分のひとつです。

複数台体制の意味

1台の車で尾行を続けると、対象者に気づかれるリスクが高まります。信号で止まるたびに同じ車が後ろにいれば、ミラーで確認しやすい。複数台が前後・並走しながら入れ替わることで、「特定の車がずっとついてくる」という状況を作らないようにします。

車種・色の選択

調査に使う車は、目立たない車種・色を選びます。派手な色・希少な車種・大型車は避けます。普通の街中に溶け込める、いわゆる「いそうな車」が理想です。地域によっては、軽自動車の方が自然な場合もあります。

駐車位置の選び方

長時間の張り込みでは、駐車位置も重要です。対象者宅や職場の近くに止めすぎると目につく。かといって遠すぎると動きに対応できない。周辺のコンビニ・商業施設の駐車場・路地の奥など、長時間止めていても不自然に見えない場所を事前に把握しておきます。

通信機材——チームで動くための連携ツール

複数の調査員が離れた位置に散らばって動く場合、リアルタイムの情報共有が不可欠です。

「対象者が北口に出た」「今、角を右に曲がった」——こういった情報を瞬時に全員が共有することで、誰かが見失っても別の調査員が引き継げます。スマートフォンの通話では、会話のタイムラグと周囲への音漏れリスクがあります。プロは業務用の通信機材を使い、最小限の言葉で正確に状況を伝える運用をしています。

この連携の精度が、尾行の継続率に直結します。「見失った」という事態は、機材だけでなく訓練と経験によっても防がれています。

GPS——令和7年の法改正で状況が変わった

ここは特に注意していただきたい内容です。

「自分でGPSを付けてしまった」という相談が増えています。スマートフォンに接続できる小型のGPS端末は安価に入手でき、「自分で調べよう」と思ったときに手が届きやすい選択肢になっています。しかし、これには重大な法的リスクが伴います。

令和7年(2025年)12月30日に施行された改正ストーカー規制法により、相手方の同意なくGPS端末を取り付ける行為は、夫婦間であっても違法となる可能性が極めて高くなりました。「自分の配偶者だから大丈夫」という認識は、現在の法律では通用しません。

参考:警察庁|改正ストーカー規制法について

自力でGPSを取り付けた場合、証拠として使えないだけでなく、自分自身が法的責任を問われるリスクがあります。「浮気を調べたかっただけなのに、自分が訴えられた」という事態は、現実に起き得ます。

プロの調査では、GPSに頼らない尾行・張り込みが基本です。法的に問題のない方法で、法廷で使える証拠を確保することが私たちの仕事です。

Bさんのケース(30代・男性・会社員)

妻の行動を追うために市販のGPS端末を購入し、車に取り付けたBさん。位置情報で「ホテル街に長時間いた」ことは確認できたものの、弁護士に相談したところ「この証拠は使えない可能性が高い。むしろGPSの取り付けで逆に問題になるリスクがある」と言われました。結局、プロによる再調査を依頼することになり、費用も時間も二重にかかってしまったとのことです

報告書——機材ではないが、最重要の「道具」

機材の話をしてきましたが、最終的に依頼者の手元に残るのは報告書です。

報告書は、調査で得たすべての記録を整理した文書です。行動の時系列・撮影した写真・映像の説明・調査員の所見——これらが正確にまとめられていることが、慰謝料請求離婚調停の場面で効力を発揮します。

「証拠映像があるから大丈夫」と思っていても、報告書の記載が不正確だったり、行動記録に抜けがあったりすると、法的手続きで活用しにくくなることがあります。弁護士との連携を視野に入れた証拠収集という観点から、報告書の質は機材と同じくらい重要です。

当社では報告書作成費用も料金に含まれています。「証拠を押さえたあとどう使うか」まで考えた対応をしています。

素人調査が失敗する、もうひとつの理由

機材の話を続けてきましたが、もうひとつ正直に言わなければならないことがあります。

道具の問題だけではない、ということです。

尾行は、対象者の行動パターンを読む経験と、状況に応じてとっさに判断を変える訓練が必要な作業です。「追いかけること」自体は誰でもできますが、「気づかれずに、証拠になる場面まで追い続けること」は、経験なしには難しい。

また、自力調査には感情が入ります。「あの人と一緒にいる」という場面を目の前にしたとき、冷静に映像を記録し続けられるかどうか。怒りや悲しみで手が震えたり、声をかけてしまったりすることは珍しくありません。そうなると証拠も取れず、相手に「調べていた」ことがバレ、法的手続きにも不利な状況が生まれます。

プロに依頼する意味は、機材だけでなく「感情を持ち込まない第三者が動く」という点にもあります。

Cさんのケース(50代・女性・会社員)

夫が怪しいと感じたCさんは、自分で車で後をつけようとしました。途中でホテル前に夫の車が止まっているのを見つけ、思わず車を降りて夫を呼び止めてしまいました。夫は浮気を認めず、Cさんが「ストーカーみたいなことをしていた」という状況だけが残りました。後日プロに依頼し直しましたが、夫側は「妻が精神的に不安定だった」という主張を離婚協議で持ち出してきたそうです。

よくある質問

Q. 調査員は盗聴器も使いますか? A. 当社では盗聴器を使った調査は行っていません。盗聴は電気通信事業法等に抵触する可能性があり、そもそも得られた情報は証拠として使えません。機材はすべて法的に問題のない範囲で使用しています。

Q. 自分でつけたGPSのデータは証拠になりますか? A. 令和7年施行の改正ストーカー規制法の影響もあり、違法に取得されたデータは証拠として採用されない可能性があります。また取り付け行為そのものが法的問題になるリスクがあります。すでに取り付けてしまった場合は、まずご相談ください。

Q. スマートフォンで撮影した映像は証拠になりませんか? A. 映像の内容・画質・日時情報が適切であれば、スマートフォンの映像が参考資料になるケースはあります。ただし、証拠として十分な条件を満たしているかどうかは個別に判断が必要です。不貞行為の立証に必要な証拠の条件も参考にしてください。

Q. 調査中に機材が壊れたり紛失したりした場合はどうなりますか? A. 機材の管理は調査員の責任で行います。依頼者に費用負担が発生することはありません。

Q. 調査の様子を依頼者がリアルタイムで見ることはできますか? A. 基本的にはできません。リアルタイムで状況を共有することは、依頼者の行動に影響を与えるリスクがあるためです。調査終了後に映像・写真・行動記録をまとめてご報告します。

まとめ

プロが使う機材には、それぞれ明確な理由があります。望遠・暗所対応のカメラ、複数台の車両、リアルタイム通信、法的に問題のない撮影手法——これらは「本当に証拠として使えるものを取るため」に選ばれています。

素人調査が失敗する理由は、機材の不足だけではありません。経験・判断力・そして感情のコントロール。さらにGPSの無断取り付けのように、善意の行動が法的リスクに変わることもあります。

「自分でやろうとして、うまくいかなかった」という段階でも、相談していただければ状況を整理するところから一緒に考えます。

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