「弁護士に頼むとお金がかかる。自分で示談交渉できないだろうか」——不倫の慰謝料請求を検討している方から、こういった声をよく聞きます。

結論から言えば、示談交渉を自分で進めることは可能です。しかし「できる」と「うまくいく」は別の話です。自分で交渉を進めることのメリットとリスクを正しく理解した上で判断することが重要です。

この記事では、不倫の示談交渉の基本的な進め方、自分でできるケースとすべきでないケース、弁護士に依頼する場合のメリットをわかりやすくお伝えします。

示談とは何か

示談とは、裁判を起こさずに当事者間の話し合いで解決する方法です。

不倫の慰謝料請求においては、配偶者や不倫相手に対して慰謝料の支払いを求め、金額・支払い方法・その他の条件について合意する——この一連のプロセスが示談交渉です。

示談が成立すると示談書(合意書)を作成し、双方が署名することで法的な拘束力が生まれます。示談書の内容を相手が守らない場合は、法的手段に訴えることができます。

示談交渉を自分で進めることはできるか

法律上は可能

示談交渉を自分で行うことに、法律上の制限はありません。弁護士資格がなくても、自分の権利として慰謝料を請求し、相手と交渉することは認められています。

実際には難しいケースが多い

ただし自分で交渉を進めることには、様々なリスクと難しさがあります。

感情的になりやすい、相手の言葉に動揺して不利な条件を受け入れてしまう、示談書の内容が不十分で後からトラブルになる——こういったケースは珍しくありません。

「自分でできるかどうか」より「自分でやって本当に得をするかどうか」を考えることが重要です。

自分で示談交渉を進める手順

①証拠の確認

示談交渉を始める前に、手元にある証拠を確認します。

不貞行為を証明できる証拠がなければ、相手に否定されてしまうリスクがあります。探偵事務所の調査報告書、ホテルへの入室写真・動画、性的な内容を含むLINEのやりとりなどが有効な証拠です。証拠の収集については調停・裁判で勝てる証拠のページもあわせてご覧ください。

証拠が不十分な場合は、交渉を始める前に証拠を補強することをお勧めします。

②請求金額の設定

証拠が揃ったら、請求する慰謝料の金額を設定します。

浮気・不倫の慰謝料相場でお伝えしたように、離婚する場合で100万円〜300万円程度、離婚しない場合で50万円〜200万円程度が目安です。最初から相場の下限を提示する必要はありません。交渉の余地を残した金額を提示することが基本です。

③内容証明郵便による請求

自分で交渉を進める場合も、最初の請求は内容証明郵便で行うことをお勧めします。

内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰に・どんな内容の郵便を送ったかを郵便局が証明する郵便です。「請求した事実」を証明できるため、後からのトラブルを防ぐ効果があります。

内容証明郵便には決まった書き方があります。1行20字・1ページ26行以内などのルールがあるため、作成前に確認が必要です。

④交渉

相手から連絡が来たら、交渉を進めます。

交渉では以下の点を意識することが重要です。感情的にならない、相手の言葉をすぐに信じない、口頭での約束を鵜呑みにしない——これらは自分で交渉を進める上での基本です。

相手が弁護士を立てて交渉してきた場合は、自分も弁護士への依頼を検討することを強くお勧めします。法律の専門家と素人が交渉すると、著しく不利な条件になるリスクがあります。

⑤示談書の作成

合意に達したら、示談書を作成します。

示談書に盛り込むべき主な内容は以下の通りです。

  • 慰謝料の金額と支払い期限・方法
  • 求償権の放棄(不倫相手への請求の場合)
  • 今後の接触禁止条項
  • 口外禁止条項
  • 違反した場合のペナルティ
  • 清算条項(この示談以外に請求しないという確認)

示談書の内容が不十分だと、後からトラブルになることがあります。特に清算条項と求償権の放棄は、見落としやすい重要な項目です。

⑥公正証書化

示談書が完成したら、公正証書にすることをお勧めします。

公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公文書です。示談書を公正証書にすることで、相手が支払いを怠った場合に裁判なしで強制執行ができるようになります。「公正証書にしなかったせいで相手に逃げられた」という事態を防ぐために重要なステップです。

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自分で示談交渉すべきでないケース

以下のケースでは、最初から弁護士に依頼することを強くお勧めします。

相手が弁護士を立てた場合

相手側に弁護士がついた時点で、自分で交渉を続けることは非常に不利になります。法律の専門知識を持つ相手と素人が交渉すると、知らないうちに不利な条件を受け入れさせられるリスクがあります。

離婚を伴う場合

離婚する場合は慰謝料だけでなく、財産分与・養育費・親権など複数の問題を同時に交渉する必要があります。これらを自分で進めることは、法律知識がないと非常に困難です。浮気・不倫で離婚する場合の慰謝料の記事もあわせてご参照ください。

相手が請求を拒否した場合

相手が慰謝料の支払いを完全に拒否した場合、自分での交渉は限界に達します。訴訟に進む必要がある場合は、弁護士への依頼が不可欠です。

証拠が不十分な場合

証拠が不十分な状態で交渉を始めると、相手に不貞行為を否定されてしまいます。証拠が弱い場合は、まず証拠を補強することを優先してください。

相手の言動が脅迫的・攻撃的な場合

相手が感情的になり、脅迫的な言動をとる場合は自分での対応を止めることをお勧めします。自分の安全を守ることを優先してください。

弁護士に依頼するメリット

適正な慰謝料を獲得しやすい

弁護士は過去の判例や交渉経験から、適正な慰謝料の相場を把握しています。自分では気づかない請求できる項目を見つけてくれることもあります。

精神的な負担が軽減される

不倫の交渉は感情的になりやすく、精神的な消耗が大きいものです。弁護士に窓口を任せることで、相手と直接やりとりする必要がなくなります。

示談書の内容が確実になる

弁護士が作成する示談書は、必要な条項が漏れなく盛り込まれており、後からのトラブルを防ぎやすくなります。

訴訟に発展した場合もスムーズ

相手が示談に応じない場合に訴訟に移行する際、最初から弁護士に依頼していればスムーズに対応できます。

弁護士費用の目安

弁護士費用が心配で自分で交渉しようと考えている方も多いと思います。一般的な費用の目安は以下の通りです。

  • 相談料:30分あたり5,000円〜1万円程度(無料相談を実施している事務所も多い)
  • 着手金:10万円〜30万円程度
  • 成功報酬:獲得額の10〜20%程度

費用は事務所によって大きく異なります。また獲得できた慰謝料から弁護士費用を差し引いても、自分で交渉するより有利な結果になるケースは多くあります。

当社では顧問弁護士への無料紹介も行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

Q. 相手が示談書にサインしてくれません。どうすればいいですか?

A. 相手が示談を拒否した場合は、訴訟に進むことになります。訴訟では証拠があれば慰謝料が認められる可能性が高いですが、時間と費用がかかります。弁護士に相談の上、訴訟に進むかどうかを判断することをお勧めします。

Q. 示談後に相手が支払いをしてくれません。どうすればいいですか?

A. 示談書を公正証書にしていれば、強制執行が可能です。普通の示談書の場合は、改めて訴訟を起こす必要があります。示談書を作成する段階で公正証書化することの重要性はここにあります。

Q. 示談交渉中に相手から「既婚者と知らなかった」と言われました。

A. 「知らなかった」という主張が認められるかどうかは状況によります。知らなかったことに過失がある場合は慰謝料請求が認められることがあります。夫・妻の不倫相手に慰謝料は請求できる?もあわせてご参照ください。

Q. 示談後に新たな不倫の事実が発覚しました。追加請求できますか?

A. 示談書に清算条項が入っている場合、原則として追加請求はできません。ただし示談後に発覚した新たな事実については、清算条項の対象外として請求できる可能性があります。弁護士に相談することをお勧めします。

Q. 証拠がない状態で示談交渉を始めてもいいですか?

A. 証拠がない状態での交渉は相手に否定されるリスクがあります。まず証拠を確保することを優先してください。ご主人の浮気調査または奥様の浮気調査のページからご相談いただけます。

まとめ

不倫の示談交渉は弁護士なしで進めることは法律上可能ですが、証拠の確認・内容証明郵便による請求・示談書の作成・公正証書化と、適切に進めるためには知識と準備が必要です。

相手が弁護士を立てた場合、離婚を伴う場合、相手が請求を拒否した場合——こういったケースでは最初から弁護士に依頼することを強くお勧めします。弁護士費用が心配な方は、まず無料相談を活用してください。

「自分で進めるべきか弁護士に頼むべきか迷っている」——そういった段階でもお気軽にご相談ください。当社は創業30年・相談実績3万件以上の実績で、調停・裁判でも使える証拠の収集をサポートします。

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