はじめに――「被害者の特徴」を語ることの難しさ
このテーマは、非常に慎重に扱う必要があります。
「不倫される側に特徴がある」という話は、ともすれば「被害者にも責任がある」という誤解につながりかねません。しかし最初にはっきりお伝えします。不倫は、不倫をした側の責任です。不倫をされた側に落ち度があったわけではありません。
この記事でお伝えしたいのは、「あなたに問題があった」ということではありません。「夫婦関係の中でどんなことが起きていたのか」を冷静に振り返ることが、今後の判断(再構築・離婚)や同じことを繰り返さないための手がかりになるという視点からの解説です。
「なぜ自分が?」という疑問を抱えているすべての方に、この記事が少しでも整理のきっかけになれば幸いです。
「不倫される側」を語るうえでの前提
不倫の「原因」は不倫をした側にある
どんな夫婦関係の問題があったとしても、「だから不倫しても仕方ない」とはなりません。夫婦関係の問題の解決方法は、不倫以外にいくらでもあります。話し合う、カウンセリングを受ける、別居・離婚を選ぶ——不倫はその中の「最悪の選択」のひとつです。
この前提を踏まえたうえで、「夫婦関係の中で何が起きていたか」を振り返ることには意味があります。
「特徴がある」=「そういう人だから不倫される」ではない
以下で挙げる「特徴」は、あくまでも「不倫が起きやすい夫婦関係のパターン」を示すものです。これらの特徴がある人が必ず不倫されるわけではなく、これらの特徴がない人が不倫されないわけでもありません。
不倫が起きやすい夫婦関係のパターン
パターン① 「感情的なつながり」が薄れていた
前回①〜③で繰り返し触れてきた「夫婦間の感情的な空白」——これが不倫の最大の土壌です。
「最近、夫婦の会話が減った」「日常の報告・連絡・相談はあるけれど、感情の共有がない」「同じ空間にいても、お互いの世界が分かれている」——こうした状況は、どちらかが外に感情的なつながりを求めるきっかけになりやすいです。
問題は、この「感情的なつながりの薄れ」は、どちらか一方だけが感じていることが多いという点です。「私は大丈夫と思っていたけれど、夫(妻)は孤独を感じていた」——こうした認識のズレが、気づかないうちに感情的な空白を広げていることがあります。
相談事例より 「妻に不倫をされたとき、自分では夫婦関係は普通だと思っていました。でも妻は『何年も前から孤独だった』と言っていて。そのギャップが一番きつかった。気づいてあげられなかったのかと、今でも考えます」(40代男性・Aさんの相談より)
パターン② 「承認・感謝の言葉」が少なかった
「ありがとう」「助かった」「さすがだね」——こうした言葉は、夫婦関係の中では「当たり前すぎて言わなくなる」ことがあります。
しかし承認欲求は、長期的な関係の中でも満たされ続ける必要があります。前回②で解説した「承認欲求が強い特徴を持つ人」は、家庭の中で承認が得られなくなったとき、外でそれを求めやすくなります。
「感謝を伝えなかったから不倫された」というわけではありませんが、「日常の中の承認の言葉が減っていた」という状況は、振り返りのポイントになることがあります。
パターン③ 「夫婦の時間」が長期間なかった
子育て・仕事・親の介護——夫婦の生活の中では、二人だけの時間が極端に少なくなる時期があります。こうした時期が長く続いたとき、夫婦関係の「薄さ」が固定化していくことがあります。
「夫婦というより同居人」「家族の役割はあるけど、恋愛相手としての関係がない」——こうした状況が長く続くと、どちらかが「夫婦以外の関係」に感情を求めやすくなります。
パターン④ 「性的な関係」が長期間なかった
セクシャルな関係の減少・消滅は、夫婦関係の問題の中でも特に言い出しにくいテーマです。しかし現場での相談では、「長期間性的な関係がなかった」という状況が不倫の背景にあるケースは少なくありません。
「レスになったのはどちらかの責任」という問題ではありませんが、性的な関係の希薄化が夫婦間の感情的な距離と連動していることは多く、振り返りの視点として無視できません。
パターン⑤ 「ネガティブなコミュニケーション」が多かった
批判・否定・比較・無視——こうしたネガティブなコミュニケーションが日常化していた場合、どちらかが外に「ポジティブな関係」を求めやすくなります。
「何か言えば否定される」「どうせわかってもらえない」という感覚が積み重なると、家庭の外での会話が「解放感」として体験されやすくなります。
ただし、これも「ネガティブなコミュニケーションがあったから不倫は仕方ない」ではありません。コミュニケーションの問題は、話し合いやカウンセリングで解決すべき問題です。
相談事例より 「夫から不倫を告白されたとき、私がいつも否定的なことを言っていたから、と言われました。確かに私は口が悪くて、夫を傷つける言い方をしていたかもしれない。でも、だから不倫していいわけじゃない。その怒りと罪悪感が同時にあって、本当につらかった」(30代女性・Bさんの相談より)
パターン⑥ 「変化のサイン」を見逃し続けていた
パートナーの行動の変化・感情の変化・夫婦関係の変化——こうした「サイン」に気づかず、あるいは気づいても「気のせいだろう」と流し続けていたケースがあります。
浮気の勘が当たるケースでも解説しているように、「なんとなくおかしい」という直感は多くの場合根拠があります。この直感を早めに大切にすることが、問題の早期発見につながります。
「振り返り」は自責のためではなく、次のための材料
「なぜ気づかなかったか」という問いへの答え
「なぜ気づかなかったのか」という問いに苦しんでいる方は多いです。しかしこれは「あなたが鈍感だったから」ではありません。
不倫をしている側は、発覚しないようにあらゆる工夫をします。発覚のきっかけシリーズでも解説したように、スマホの管理・行動の言い訳・感情の隠し方——これらを駆使して「気づかせない」努力が行われています。気づけなかったのはあなたのせいではありません。
再構築を選ぶ場合の「振り返り」の活用
もし再構築を選ぶ場合、「夫婦関係のどこに問題があったか」の振り返りは、同じことを繰り返さないための重要な材料になります。ただしこれはあくまでも「二人で取り組む作業」であり、不倫をした側が一方的に「あなたにも問題があった」と主張する材料にしてはなりません。
浮気後の再構築でも解説していますが、再構築には二人の対等な取り組みが必要です。
離婚を選ぶ場合の「振り返り」の活用
離婚を選ぶ場合も、「夫婦関係の振り返り」は次の人生への手がかりになります。「どんな関係パターンが自分には合わないか」「次はどんな関係を築きたいか」——こうした整理は、新しい一歩を踏み出すための準備になります。
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FAQ
Q. 不倫されたのは自分に問題があったからですか?
A. 違います。不倫は不倫をした側の責任です。夫婦関係に問題があったとしても、その解決方法として不倫を選んだのはパートナー自身です。「自分のせいだ」と自責する必要はありません。
Q. 「あなたにも問題があった」とパートナーに言われました。どう受け止めればいいですか?
A. 夫婦関係に課題があったとしても、それは不倫の「原因」ではなく「背景」です。不倫をした側がこの言葉を使う場合、責任転嫁として使っているケースがほとんどです。この言葉に傷ついた場合は、専門家(弁護士・カウンセラー)への相談をお勧めします。
Q. 夫婦関係を振り返ることで、再構築につながりますか?
A. 振り返り自体は再構築の出発点になり得ます。ただし振り返りは「二人で取り組む作業」です。不倫をした側が変わる意志を持ち、二人で対等に向き合うことが再構築の条件です。浮気後の再構築も参考にしてください。
Q. 「自分も悪かった」と思ってしまいます。どうすればいいですか?
A. 自己反省は健全な姿勢ですが、不倫の「責任」と夫婦関係の「課題」は分けて考えることが重要です。一人で抱え込まず、専門家への相談や信頼できる人への相談を通じて、感情を整理することをお勧めします。
まとめ
不倫が起きやすい夫婦関係のパターンとして、感情的なつながりの薄れ・承認の言葉の減少・夫婦の時間の消滅・性的な関係の希薄化・ネガティブなコミュニケーション・変化のサインの見逃しを挙げました。
これらは「あなたに問題があった」という話ではありません。「夫婦関係の中で何が起きていたか」を冷静に理解するための視点として活用してください。振り返りは自責のためではなく、次の判断と次の一歩のための材料です。
次回⑤では、不倫相手に「本気」になる心理——「遊び」が「本気」に変わるときを解説します。
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